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番外編 はなももの里

「でも卯月さんって本当にすごい人ですよね。尊敬します」 「何を言い出すかと思ったら。俺は何もしていない。褒めても何も出ないぞ」 照れ隠しに笑って誤魔化していた。 「椎根がSNSの匿名性を悪用し、金を借りたいとダイレクトメールをしてきた若者に無利子だと嘘をついて金を貸している。実際は闇金で高利貸しだと噂で耳にはしていた。警察も元妻の失踪に椎根が関わっているとして指名手配して行方を追ってはいるものの手がかりが何一つない」 「これは関係筋から聞いた話しだ。椎根は悪知恵がきく男だがネットには疎いらしい。椎根の近くにいる男らがネットに精通しているとしたら十分有り得る。これは名無しの権兵衛と椎根を名乗る男とのやり取りだ」 斎藤さんと吉村さんの前にスクショし現像した写真を並べた。 「名無しの権兵衛って誰だ?」 「しおと一緒にいた男だ。名前を名乗らないから仮にそう名付けた」 「もしかしてその男、警察につき出さずに野放しにしているんですか?危険です」 「子どもたちに何かあってからでは遅すぎます」 斎藤さんと吉村さんの顔色が変わった。 「覃に預けたから案ずるな」 「卯月さん、覃さんに預けるほうが危険だと思うのは私だけですか?」 「斎藤もそう思ったか」 「みんなそう思っているよ。口に出さないだけでな」 彼がくすりと笑った。

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