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番外編 はなももの里
「紗智、報告ありがとう」
「マー、人の心配より自分の心配しないと。マーこそ蚊に食われるよ。また変な勘違いしてバーバが騒ぐよ」
「そうだね」
「青空も。心配しなくてもうまくいくよ。だから大丈夫」
ねえさんに続いて紗智にも励まされるとはな。参ったな
青空さんが照れながら頭をくしゃくしゃと掻いていた。
寝室に戻ると、バッと明かりがついたから驚いた。
「果報は寝て待てってよく言うだろ?」
子どもたちに添い寝していた彼がむくっと体を起こした。
「青空のこと、なかなか話せなくてごめんな。いきなりで驚いただろう?」
空いていた布団に移動すると笑顔で手招きされた。
「お祖父ちゃんとお義父さんと惣一郎さんにお礼をちゃんと言わないと。警察がこれだけ手を尽くして探してくれても見つからなかった青空さんのおじちゃんとおばちゃんを見付けてくれたんだもの」
「まだそうとは決まった訳じゃないがな。寺嶋夫妻も桃の収穫がなければすぐにでも青空に会いに行きたかったと話していた。なにもこっちから行けば済む話しだ。千里の鶴の一声で一致団結できる昇龍会はやっぱりすごい組織だ。未知もそう思うだろ?」
大きく頷いて彼の腕を枕代わりに横になると、もう一方の腕が背中に回ってきてそっと抱き寄せられた。
「何はともあれしおに感謝だな」
「しおさん、これを機に足を洗い、ちゃんと立ち直れるかな?」
「一人じゃないんだ。今度こそ立ち直れるさ」
彼の顔がぐいぐいと近付いてきて。おでことおでこをくっつけると、軽くキスをされた。
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