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番外編 おかえり

「すげぇー似合ってるぞ」 「卯月さんに褒めていただきマジで嬉しいです」 「光希と子どもたちを頼むな」 「はい。この命に代えてもお守りいたします」 背筋をびしっと伸ばし大きな声で返事をするコウジさん。 「あ、そうだ。すっかり言い忘れるところだった。親父と茨木さんに会ったら宜しく言っておいてくれ」 「心配しなくてもここに来ると思うよ。可愛い孫とひ孫と嫁に会いに。二人とも一太から電話をもらって楽しみすぎてここ三日まともに寝れなかったって未知から聞いたよ」 「気合いを入れすぎて空回りしないか。それが心配なんだよ」 彼の言葉を聞いた光希さんがくすりと笑った。 「ん?どうした?」 「いやね、変わったなってそう思っただけ」 「丸くなったってだろ?」 「ううん。違う。上総さんのことをあんなに嫌っていたから。話しもしないし、目も会わせなかったから」 「上総さんが遥琉の母親を見殺しにしたことと、遥琉を育児放棄したこと、今まで冷たく当たっていたことをすべて遥琉に謝ったんですよ。目に入れても痛くないくらい可愛い嫁と孫のために上総さんはまず自分が変わらないと、そう思ったのでしょうね。お互い素直じゃないのでどちらかが歩み寄らないとこじれる一方ですからね。念のため持っていったほうがいいですよ」 橘さんがツカツカと寄ってきて光希さんに折り畳み傘を二本渡した。

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