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番外編 ただいま

「驚かせてごめんなさい。惣一郎さんが寿さんに連絡するって話していたから私てっきり紫さんにも連絡が行っているものだと思ってて」 「私全然聞いてないわよ」 紫さんが頬っぺたを膨らませた。 「立ち話しもあれだから中に入って。蜂谷さんぼおっとしてないで、和江さんを広間に案内してあげて」 和江さんと紫さんは本当の姉妹のようにすごく仲がいい。 惣一郎さんは刑事を辞めてまでヤクザになった寿さんのことをよくは思っていなかったのよ。でもまさか昴士が刑事を辞めて度会さんの世話になる日が来るとはね。人生何があるか分からないわ。今だったら寿さんの気持ちも少しは理解できるかもと惣一郎さんが話していたわ。和江さんがふとそんなことを漏らしていたことを思い出した。 「ちょうど良かったわ。光希さんが帰って来ているのよ」 「え!?光希さんが?」 「えぇ。夏休みまで福島にいる予定よ。東京に戻るときは奏音くんも一緒よ」 「そう、良かった」 胸に手をおいで安堵のため息をつく和江さん。 「奏音くん、光希さんに朝から晩までべったりなのよ。将来は筋金入りマザコンになっているかも知れないわ」 「心配するまでもなかったということね」 「えぇ。まわりが変に気を遣うよりごく自然に接したほうがいい。頭では分かっていてもそれを実行に移すとなるとなかなか難しくてね。一太くんたちが奏音くんの側にいてくれて本当に助かったわ」 紫さんが胸を撫で下ろした。

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