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番外編 ただいま
「和江さん、青空のことありがとう。惣一郎さんにまた一つ借りが出来てしまったわ」
「母さん俺からも礼を言う」
蜂谷さんが軽く頭を下げた。
「青空くんは私たちにとって三番目の息子だもの。家族に会わせるまで死んでも死にきれないってお父さんが。だから気にしないで。昴士、玉井さんが待ってるわよ。たまには会いに行ってあげたら?」
「だから、タマのことは……」
顔を真っ赤にする蜂谷さん。急にそわそわし始めた。
「情状酌量でもしかしたら執行猶予がつくかも知れないんでしょ?」
「なんでそのことを……」
「だってほら」
和江さんが肩に掛けていたバックから手紙を取り出した。
「手紙を出したくても住所不定で出せないからお父さん宛で送って寄越したのよ」
「もしかしてタマに手紙を書いた?」
「電話を掛けてもいつも留守電で。待てど暮らせど連絡のひとつも寄越さないから。安心して。あなたが心配するようなことは書いてないから」
「本当かよ」
「そんなに疑うなら玉井さんに手紙のひとつも書いてあげなさい。愛想を尽かされても知らないわよ」
和江さんに痛いところをつかれ反論すら出来ない蜂谷さん。
「ほらやっぱり和江さんだ」
そこへ青空さんが姿を現した。
「惣一郎さんがいたから、もしかしてと思って探していた。ハチもいつの間にかいなくなるし。水臭いぞ」
「ごめんな」
蜂谷さんが手を合わせた。
「和江さん、今度会ってくる」
「そう良かったわね」
「俺は幸せ者だ。親代わりがたくさんいる。オヤジに秦さんに、ハチの両親にまだいるぞ」
嬉しそうに指を折って数える青空さん。和江さんは末っ子の成長ぶりに目を細めて眺めていた。
その後光希さんと無事に再会することが出来た和江さん。よっぽど嬉しかったのか涙ぐんでいた。
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