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番外編 ただいま
若い衆が緊張してがちがちになっていた。お祖父ちゃんもお義父さんも今では生きる伝説のヤクザになっているから緊張するのも無理もない。彼と度会さんと惣一郎さん。五人が並んだ姿は本当に絵になる。
急遽召集されたにも関わらずすぐに全員駆け付けてくれた幹部の皆さんも五人に憧憬と尊敬の眼差しを向けていた。海堂さんと瀧田さんのこと、青空さんのこと、一央さんのこと、湯山さんのこと、話題は尽きなかった。組の存続に関わる問題も山積していた。はじめは冗談を言いながら談笑していたけど、だんだんと険しい表情になっていった。ぴりぴりとした張り詰めた重苦しい空気を一瞬で変えたのは子どもたちだった。
「たいくん、ここちゃん、じぃじたち大事なお話しをしているからそっち行っちゃ駄目ってば。高行さん、たいくん掴まえて!」
「柚原、ここちゃん掴まえて!」
紗智さんと那和さんが慌てて太惺と心望を追い掛けてきた。
「寝起きが悪くていつもぐずっているのに。珍しいな。今日は二人とも泣いてない。機嫌がいい」
彼がくすりと笑った。
「バーバ、そんなことを言っている暇があるならたいくんとここちゃんを掴まえて!」
「悪戯されても知らないよ」
「心配しなくても大丈夫だ」
じぃー、じぃーを連呼し、お祖父ちゃんたちのところに真っ直ぐに向かう二人。熱烈に歓迎されお祖父ちゃんの目尻が下がりっぱなしになった。
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