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番外編 ただいま

「あ、たんしゃんだ。かえり」 真っ先に覃さんがいることに気付いたのは遥香だった。 「相変わらず神出鬼没な男だ。気配すら感じなかったぞ」 「そうか?照れるな」 「覃、名無しの権兵衛の世話、大変だっただろう?」 「いや、そうでもないぞ。なかなかやりがいのある男だったぞ。宇賀組の野郎に渡すのはちいと惜しい男だったぞ。何て言ったけ?渋川だっけ?槙島だっけ?」 「手塚だ」 覃さんの耳元にぼそぼそと囁く蜂谷さん。 「おぅ、そうだった。手塚だ。思い出しだぞ。ハチ、ナイスフォローだ。さすがは俺のハチだ」 「ありがとうな。褒め言葉して受け取っておく」 いつもの蜂谷さんなら、いつから俺はお前の物になったんだ?そう言って覃さんに絡むのに。覃さんもそれをひそかに楽しみにしているのに。 「おぃ、おぃハチ、それだけか?」 そのまま素通りしようとした蜂谷さんの腕を覃さんが咄嗟に掴んだ。 「親父の前だからな。あとで構ってやるから今は我慢してくれ」 「本当か?」 「二言はない」 いまいち噛み合わない二人のやり取りを惣一郎さんは笑いながら楽しそうに見ていた。

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