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番外編 ただいま
「ねぇ遥琉さん、遼成さんが警察に事情を聞かれたのは遼禅さんのことがあったからなの?」
「身内の恥と遼はあまり話したがらない。おしゃべりな本部の幹部たちが言うには遼禅さんはどうやら被害者みたいだ。でも後ろめたいことがあるんだろ。遼禅さんはなぜか被害者を庇った。だから自作自演じゃないかとサツに疑われた」
「また女性絡みなの?」
「恐らくな。遼は俺の親父みたいに人様に迷惑を掛けず悠々自適の老後を過ごしてもらいたいと願っているが、子の心親知らずだ。引退したとはいえいまだに強い影響力を持っている。遼のやる事なす事にいちいち文句を言って縣一家を振り回している」
「儂は遼禅に、儂らの時代は終わったんだ。あとは若いのに任せろと口を酸っぱくして何度も言ったんだが聞き耳さえ持ってくれなかった。遼成と龍成と信孝。立派な跡取りを三人も育てたんだ。その功績は大きいって褒めたんだがな」
一度こうだと決めると決してそれを曲げない。頭が固くてなかなか手強い男だとお義父さんがため息をついた。
「光希苦労を掛けてすまんな」
え!?光希さん?お義父さんに言われて初めて光希さんが隣にいることに気付いた。
「まさか上総さんがこんなにも俺のことを心配してくれているとは思わなかったから、えっと、その……」
声が震えてうまく言葉が続かなかった。
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