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番外編 ただいま

「儂の大事な嫁を大事にしてくれる人に悪い人はいない。光希ありがとうな、嫁のそばにいてくれて。光希がいれば心強い」 「俺はなにも」 慌てて首を横に振る光希さん。 「謙遜すんな」 「本当に俺はなにもしていません。上総さんと茨木さんが先代の側にもっといてくれたら少しは違ったのかもしれません」 「覆水盆に返らずだ。まさか遼禅のほうから絶交だと言われたときは思わなかったからな。女で男は変わるからな。遼禅も女の言いなりだ。すっかり変わってしまった。嫁を大事にする倅と遼成の爪の垢を煎じて遼禅に飲ませてやろうかと本気で考えたこともあるがな」 にかっと悪戯っぽく笑うお義父さん。 「光希、子どもが増えて大変だが無理せず頑張れよ」 肩を軽くぽんぽんと叩くお義父さん。 「上総」 お祖父ちゃんがお義父さんを睨み付けた。余計なことを喋るな、目で釘を刺した。 あ、そっか。地竜さん、お義父さんたちにもあのことを話したんだ。みんなの協力がなければちいさな命を救えないもの。 「上総さん、遼も龍もあの頃と比べたら随分と大人になりましたよ」 光希さんがクスクスと笑い出した。 光希さんも勘が鋭いから。良かった、気付かれなくて。一瞬ドキリとしたけど、ホッとして安堵のため息をついた。

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