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番外編 おかえり
青空さんが寺嶋さんの孫かもしれない。DNAによる血縁関係鑑定の結果待ちと知るや否や政府は手の平を返した。今までなんの連絡も寄越さなかったのに。消息不明になり死亡宣告により戸籍上は亡くなったことになっている青空さんの戸籍をすみやかに回復し、日本で生活するために必要なお金を毎月十万、それを最長五年間支給すると市を介して通達があった。それに対し怒りを爆発させたのは誰でもない寺島さん夫婦だった。
孫は母親と一緒に川さ落ちて死んだ。たった二日川を探して捜査打ちきりだ。それっきりだ。町も警察もなにもしてくれなかった。娘と一緒に元夫に連れ去られたと何回言っても捜査は終わったんだとぜんぜん取り合ってくれなかった。
寺島さんは訪ねてきた県の担当者と福島一区選出の国会議員の公設秘書に対しホースで水をかけて追っ払った。今から遅い。もう二度と来るな!この十五年、警察と市と県と国に対し、積もりに積もった不信感と怒りをぶちまけた。
「未知も聞いていると思うが、奥さんがあの通り明るくてがらがらした性格の持ち主だから、旦那のほうは口数が少なく物静かで黙々と農作業をしていてめったに怒ったことがない。だからまわりにいた全員がたまげたんだ」
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