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番外編 おかえり
一太の様子を見に広間へ向かった彼。お風呂上がりのお義父さんと廊下でバッタリと会った。
「手塚は怒らせたらヤバイって聞いたぞ。そんなあぶねーヤツにナナシを預けて大丈夫なのか?」
「もっとあぶねーのがその上にいます」
「もっとあぶねーヤツ?誰だ?」
首をかしげるお義父さん。
「槙島と渋川か。なるほどな」
「覃と宋は好きなオトコがいるからあれでも手加減したほうです」
「散々泣かせておいてよくそんなことが言えるな」
お義父さんが苦笑いを浮かべながら濡れた髪をタオルで拭った。
「知らなかったとはいえヤクザに喧嘩を吹っかけたんです。その責任はちゃんと取ってもらわないと他の者に示しが付きません。だから菱沼組は舐められるんだと他の組から笑いものにされます」
「遥琉の言うことにも一理ある。いやぁ~~ますます箔がついたんじゃねぇか。今までぼんくらだの青二才だと散々馬鹿にしていた本部の古参の幹部を一瞬で黙らせと聞いたぞ。さすがは俺の息子だ」
ほろ酔い気分のお義父さんが機嫌よくゲラゲラと笑い出した。
「よく言うよ。俺の父親は根岸だけだ」
お義父さんに聞こえないように小声でぼそっと呟く彼。
「なんか言ったか?」
「いえ、何も」
彼が首を横に振った。
「根岸がどうったらこったら……」
足元がおぼつかなくてふらふらしているお義父さん。いつ倒れてもおかしくない。見ているほうがヒヤヒヤする。
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