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番外編 おかえり

「みんなに心配を掛けてすまんな。悪いのは上総だ。自業自得だからこればかりはどうしようもない。すまんな、旨そうな匂いに釣られてつい顔を出してしまった。未知、お茶のおかわりをもらえるか?」 お祖父ちゃんから湯呑みを渡された。 「どうした?あっぱ口開けて」 「お祖父ちゃんの訛りをはじめて聞いたから。普通に使っているから馴染んで良かったなってそう思ったの」 「惣一郎と和江さん、それに隣近所みんなよくしてくれるからな。お陰で楽しい老後を過ごせているよ。至り尽くせりでバチが当たりそうだ」 お祖父ちゃんが嬉しそうな顔をした。 台所を出たところで危うく柚原さんとぶつかりそうになったお祖父ちゃん。 「ちょうど良かった。柚原に話しがあったんだ。可愛い子には旅をさせよとよく言うだろ?快く橘を東京に行かせてやれ。思わぬ収穫があるかも知れないぞ」 「怖いのは千夏でなく大人をいとも簡単に手玉に取る小夏のほうです。本人にはその自覚がないから始末が悪い」 「お前さんも橘もいくつもの修羅場を乗り越えて一緒になったんだろ?橘を信用してやれ。それに橘は一人じゃない。可愛い妹がいる。積もる話しもあるだろうから、たまには兄妹水入らずの時間も必要だろ?」 お祖父ちゃんが柚原さんの肩を軽くぽんぽんと叩いた。 茨木さんの仰る通りです。分かりました。優璃を光希と一緒に東京に行かせます」 「柚原、そんなに心配ならお前さんも行ってこい。ここで焼きもちを妬かれてもな。未知が大変だと思うんだ」 「……へ?」 「へ?じゃないだろう。親の墓参りくらいしてこい。そのうちバチが当たるぞ」 茨木さんは何でもお見通しだった。

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