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番外編 おかえり
彼とすれ違いざま「行ってこい」と声を掛けられた柚原さん。
「まだ何も言ってませんが」
どきりとして立ち止まった。
「橘に悪い虫が付かないように一緒に東京に行くんだろ?」
「なんで知っているんですか?もしかして俺と茨木さんとの会話を聞いていたんですか?」
「いや、何も聞いてない。橘はツンデレだ。本音は決して口にしない。ツンツンして塩対応のときはたいていその逆。側にいて欲しい、一緒に付いていって欲しい。腹の中ではそう思っている。そうだろ?違うか?」
「さすがはオヤジです。俺より優璃のことをよく知ってますね」
「そうか?お前には敵わねぇよ。子どもたちのことは心配するな。なるようにしかならない。柚原と橘がいれば幸だって寂しくないし、きっと心強いはずだ」
「柚のことです。おそらく幸にになんで来たんだとなじり抱っこしてとせがまれても聞こえないフリをするでしょうね。幸が傷つくのが分かっていながら柚に会わせるのが可哀相でならない」
「その時はお前と橘で幸を抱き締めてやればいい」
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