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番外編 おかえり

「鬼頭さんの長男だ」 男性がぼそっと呟いた。 「鬼頭さんって?」 「これだからおめさんは………」 はぁ~と深いため息をつく男性。 「K市役所の農業振興課の鬼頭さんだよ。長男の写真を何度か見せてもらったことがあるだろ?顔が広いなら、あの野郎の居所を探してもらえないか頼みに行くかって話しをしていただろう?娘と孫の行方を知っているはずなのに知らぬ存ぜぬしらばっくれて。しまいにはとんずらだ」 「あ、そうだ。思い出したわ。ごめんなさいね、最近物忘れがひどくてね」 「三歩歩けばすぐ忘れるだろ?おめさんにはあやまった」 「そういう貴方もでしょう?」 また口喧嘩をはじめた二人。光希さんが苦笑いを浮かべながらわざとらしく咳払いをした。 「本当に仲がよろしいんですね。両親がお世話になりありがとうございます」 「世間は広いようで狭いですね。世話になっているのは私らのほうです。毎年桃を買いに来てくれるんですよ」 まさかまさかの親の知り合いだったという展開に驚きを隠せない様子の光希さん。 これもきっと何かの縁。もしかしたら青空さんのお母さんが両家を引き合わせてくれたのかもしれない。

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