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番外編 おかえり

「邪魔したか?悪いな。名前を呼ばれたような気がしてな」 「邪魔ではありません」 「寺嶋さんがなかなか興味深いことを証言したって聞いた」 「孫を見つけ出した見返りに金を要求されると思ったらしく銀行の帯封が付いた札束を二つ差し出されました。もちろん断りました。お年寄りから金を巻き上げようなんて、そんな非道な真似はしない。その代わり青空の父親に関する情報をなんでもいいから提供してくれと頼みました」 「そっちのほうが金になるものな」 「死んだことになっていた寺嶋空が生きていることが分かり、保険会社も調査をはじめたようです」 「俺はてっきり保険会社がグルになって金を騙し取ったと思っていたぞ」 「どういうことですか?」 お祖父ちゃんが新聞の紙面を指差した。元保険会社の社員が指南役か?五年前から生命保険の契約者に架空請求詐欺や金融商品等取引名目詐欺の騙しの電話を掛け生命保険を解約して得た金を騙し取っていたという事が書かれてあった。 「どう考えてもおかしなことだらけだ。失踪した日の摺上川は前日からの大雨で増水していて流れもかなり急だったらしい。子どもが怖いとギャン泣きすればたとえ精神的に追い詰められていたとしても寸でのところで思いとどまったかも知れないだろ?それに……これは寺嶋さんから聞いた話しだが、空の母親は小さいころ川遊びをしていたときに溺れたことがあってそれ以降は川に近付かないようにしていたそうだ」 「なるほど」 彼が二度、三度大きく頷いた。

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