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番外編 おかえり

「これからなんて呼べばいい?みつ子さんからはみっちゃんって呼んで欲しいと言われた」 「儂か?じいちゃんでいい」 恥ずかしそうに照れ笑いする寺嶋さん。 「俺の母親の話し、今は無理でもいつか聞かせて欲しい。じいちゃんとみつ子さんと母親の思い出が俺には何一つない。何も思い出せない。悪いな、こんな孫で」 「なに言ってんだ。青空はなにも悪くねぇ。だから謝らないでくんちょ。おめさんを守ってやれなくて悪かった」 寺嶋さんもみつ子さんにとって十五年はまさに生き地獄だった。後悔の念に押し潰されそうになりながらも二人が生きてくることを信じて必死で生きてきた。一度は止まったはずの涙が止まらなくなってしまった。 「二人して泣いてばっかだな。俺は笑った顔が見たいのに。こういうときどうしたらいいか俺にはわからない」 困り果てた青空さん。目で蜂谷さんに助けを求めた。 「そらおにいちゃんここにいたんだ。あそぼーよ」 ひょこりと顔を出したのは晴くんだった。 「こんばんはー」 「こんばんは。挨拶がちゃんと出来て偉いな。坊や、名前は?」 「あがたはれ、ごさい」 右手をパーにする晴くん。 「そうか。五歳か……」 青空さんが連れ去られたのは五歳の時だ。 寺嶋さんが晴くんに近寄ると、涙を堪えてじっと見つめた。

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