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番外編 おかえり
大切な娘さんと孫がある日突然目の前からいなくなってしまった寺嶋さん夫婦の時間は十五年前から止まったままなのかも知れない。
「大きくなるんだぞ。知らない人には絶対に付いていっちゃ駄目だぞ。パパとママのところに帰れなくなるからな」
難しいことを言われキョトンとする晴くん。
「悪かったな」
寺嶋さんが晴くんの顔を覗き込むと優しく頭を撫でてくれた。
晴くんが縣遼成さんの甥だと青空さんに教えてもらった寺嶋さん。どうりで似ている訳だと納得していた。
「おじいちゃんのて、おおきいね」
「そうか?」
「これあげる」
晴くんがポケットからキャンディーを取り出すと寺嶋さんの手のひらに乗せた。
「晴、今はマズイぞ」
「え?なんで?」
「なんでって……泣き虫さんになっているからだ。ほら言わんこっちゃない」
寺嶋さんの目から涙がまた溢れてきた。晴くんがおじいちゃん大丈夫?どこか痛いの?と聞いたものだから涙がまた止まらなくなってしまった。
「え!?そらおにいちゃんのじいちゃんなの?よかったねーーみつかったんだ」
「あぁ。晴と未来が短冊にじいちゃんと会えますようにと願い事を書いてくれたからだ。だからこんなに早く会えた。ありがとな」
「なんかてれる」
顔を真っ赤にしてモジモジする晴くん。
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