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番外編 おかえり
十五年前に使っていた携帯はそのあと壊れてしまい、miniSDではなく携帯本体に写真を保存していたからか捨てるにも捨てられずしまっておいた弓削さん。専門の業者に頼んだら時間がかかる。それで吉村さんに白羽の矢が立った。
「悪いな、こんな遅い時間に」
彼が電話を掛けるとワンコールで出てくれた。
ー全然遅くないです。まだ十一時前です。卯月さんから電話をもらえるなんて嬉しいですー
電話越しでもすぐ分かるくらい吉村さんはテンションがかなり高かった。
「ブンブンと尻尾を振っているのが見える」
「俺は信孝の頭ににょきにょきと角が生えるのが見えるぞ」
蜂谷さんと鞠家さんがそんな会話を交わしていた。
「本当にオヤジのことが好きなんだな、信孝は」
「さっきも一緒に寝るんだって散々駄々をこねて、一太に宥められていたしな」
「いい年をして何をしてんだか」
顔を合わせるなりやれやれとため息をついた。
「しょうがないよ。たまにしか遊びに来れないんだもの」
「ナオさんは偉いな」
「そういう未知だって」
ナオさんと目が合うなりくすくすと笑いが零れた。
「盛り上がっているね。混ぜてもらっていい?」
すっと襖が開いて光希さんが寝室に入って来た。
「奏音くん置いてきて大丈夫ですか?」
「うん。もし起きたとしても柚原と一太と優輝がいるから大丈夫」
ナオさんが体を横にずらし場所を空けるとそこに光希さんが座った。
「こうして布団の上でママ友会もたまにはいいね。ひまちゃんたちは橘と紗智たちがみてるの?」
「はい。積もる話しもあるだろうからって。お茶ですいません」
枕元に置いてある350ミリリットルのペットボトルのお茶を光希さんに渡した。
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