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番外編 おかえり
もうそろそろ着いてもいい頃なのに。佐治さんからも玲士さんからもなんの連絡が来なくて。心配で何度も携帯を確認したけど着信はなかった。
「もしかしたら安達太良か松川あたりでご飯を食べているのかも知れないよ。孫にお腹が空いたって言われれば、ひもじい思いをさせたくない。お腹がいっぱいになるまで食べさせてあげたいと思うだろうし。孫が美味しい、美味しいって喜んで食べている姿を見て、寺嶋さん夫婦きっと感極まって涙ぐんでいるかも知れない」
「やっぱり卯月さん、縁結びの神様だね」
「そうだね。目には見えないけど遥琉も未知も人を引き寄せる不思議な力を持っている。だからみんな磁石みたく遥琉にねっぱってるんでしょう?遼さんも信孝さんも遥琉より年上なのに、遥琉のことをいまだに兄貴って呼んで慕っているしね。会えば必ず喧嘩。卯月さんを巡って仁義なき兄弟喧嘩が勃発する」
「三兄弟揃って本当に面白いよね」
光希さんとナオさんが三人の噂話しに花を咲かせていたら佐治さんからメールが送信されてきた。
「佐治、なんて?」
「スピードはそんなに出していないのに覆面パトカーに追い掛けられて松川サービスエリアに逃げ込んだって。取り敢えず……えっ?嘘」
メールに書かれてあった名前に驚いて思わず声をあげてしまった。
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