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番外編 おかえり

「腹を立てる相手はお前さんじゃない。悠仁にだろ?奏音はよっぽど酷いことをされてきたんだな。呼び止めたりして悪かったな」 「いいえ、大丈夫です。おい、お前たち。突っ立ってないで客人を広間に案内しろ!喋っている暇があるならさっさと動け。ボサッとすんな。カシラに言い付けるぞ!」 立ち話しをして吉村さんたちがいることにまったく気付いていない若い衆たちに、柚原さんの怒気を帯びた鋭い声が飛んだ。 「どうした?しけたツラして」 「いや、その……」 吉村さんの視線の先には信孝さんと吉崎さんがいた。 「卯月さんは信孝だけのものじゃない。少しは大人になれ」 「翔にだけは言われたくない。その台詞そっくり返す」 「ナオに言い付けるぞ」 「勝手にしろ」 朝っぱらから口喧嘩をする二人を心配そうに見ていた。 「いつものことだ。気にするな。あぁ、見えて二人は仲はいいんだ。旧知の仲だ」 「そうなんですか?」 「あぁ。さすがは吉村だ。仕事が早いな」 「卯月さんに褒めてもらいたくて頑張りました」 ニコニコの笑顔で答える吉村さん。 「データを復旧してくれた吉村と、これを撮影してデータを残しておいてくれた弓削にも感謝だな。誰が撮影したかそれが知りたかったんだ。ありがとうな吉村」 「お役に立てて俺も嬉しいです」 人の気配を感じて後ろを振り返ったら斎藤さんが唇を真一文字に結んで立っていたからビックリした。心臓が止まるんじゃないかと思った。

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