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番外編 おかえり

「おぃ、ヤス!人の女房を盗撮とはな。いい度胸をしてるんじゃねぇか」 ぽきぽきと指の関節を鳴らしながら彼が近付いてきた。 「これに関しては会長から直々に特命を受けてます。なので盗撮ではありません」 臆することなく背筋をピンと伸ばし堂々と自信満々に答えるヤスさん。 「真面目なツラして何を言い出すかと思えば、訳の分からんことを……」 はぁ~とため息をつく彼。 「お前の上司は俺だが、千里は俺の上司でもあるからな。一理あるか」 納得すると、その写真を俺にも寄越せと言い出した。 そのあと吉崎さんと吉村さんと斎藤さんを広間に連れていった彼。ヤスさんが鞠家さんに二言、三言、言葉を掛けると、買い付けに市場に行ってくる、そう言って佐治さんの代わりに行きたいと手を挙げた譲治さんを連れて出掛けた。 「譲治、迷子になるからヤスから絶対に離れるな、いいな?それとヤスの言うことはちゃんと聞くんだぞ」 念には念を入れる鞠家さん。 鍋山とミツオもいるから心配ない。カシラは過保護すぎるんだ。ヤスさんには言われたけど鞠家さんは、はじめて行くところだから見るもの聞くものなんにでも興味を示し、目を離したほんの一瞬の隙にふらふらとどこかに行ってしまわないか、それが心配でならなかったみたいだった。 「俺も年を取ったな。参ったな」 そうボヤく鞠家さん。 「心配してもらえるうちが花だ。気にすんな」 笑いながら柚原さんが姿を見せた。

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