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番外編 おかえり
「手伝おうか?」
「ありがとう。でも大丈夫。亜優がいるから」
「そうか。亜優も早起きだな」
「青空が心配で俺も亜優も寝れなくて。何かしてないと落ち着かないんだ。こんなときでも寝れるんだから那和は強いね」
「そうだな」
「もしもね、青空が翔さんの弟だったらまた来る?あの怖い人たち」
「金にがめつい連中だからな。直司さんが青空を認知して資産を分与すると言い出したら、目の色を変えて間違いなくまた押し掛けてくるだろうよ」
「柚原、そのときはやっつけてよ。もうやだよ。弟と妹たちに怖い思いをさせたくない」
「分かったよ」
柚原さんがすっと椅子から立ち上がると紗智さんの頭をぽんぽんと優しく撫でた。
ー暇で。暇で。兄貴なんかいい話しねぇか?ー
「七海と一緒にヤスの助手でもするか?」
ー七海はともかく俺は八百屋向きじゃねぇよー
槇島さんが消息不明になっていると聞いた彼。鷲崎さんなら何か心当たりがあるんじゃないか。さっそく電話を掛けた。
ー冗談はこのくらいして。槇島の手下どもは暇で。暇で。と口を揃えて言う割には目が回るくらい忙しみたいだ。何がそんなに忙しいんだと渋川が聞いてもお前に答える筋合いはないと。組長代理をお前呼ばわりだぞー
「だからか渋川がため息ばかりついていたのは」
ー破門にするのは簡単だが、槇島がいないときに勝手にやるとあとでえらい騒ぎになる。渋川も自分の手下と槇島の手下どもの板挟みになって大変みたいだ。それはそうと青空の母親についてだが……ー
「さすがは鷲崎だ。仕事が早いな」
ー俺のほうが卯月と付き合いが長いのに。新参者に負ける訳にはいかないだろ?ー
鷲崎さんは吉村さんのことが気に食わないみたいでなぜかライバル視していた。
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