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番外編 おかえり
ー七海の知り合いが昔福光の議員事務所で働いていたそうだ。ダメ元で聞いたら青空の母親のことを知っていた。なかなか興味深い話しを聞けたー
「鷲崎、くれぐれも福光を恐喝するような真似をすんじゃねぇぞ。公安に目をつけられたら最後。消されるぞ」
ー俺がやらなくても吉柳組の連中は色めき立っている。いいカモを見つけたってな。鷲崎組は高みの見物だー
「吉柳組だと」
ー最近槇島の手下どもと蜜月関係にあるー
「へぇ~~なかなか面白い組合せだな。吉柳組と共倒れにならないように気を付けろと渋川に忠告でもしておくか。いや、待てよ。それってもしかしたら渋川にとってまたとないチャンスかも知れない。槇島の手下どもを一掃出来る」
ーそうだ。だから渋川は知らぬ存ぜぬを押し通すらしい。たとえ宇賀神組が解散に追い込まれても自分達で再興させればいいだけの話しだ。渋川がやっとやる気になったのも、卯月、お前のお陰だー
「俺はなにもしてねぇよ」
ーしてるだろうー
彼がふと視線を感じて下を見ると、そこにいたのは太惺だった。お気に入りのタオルを握り締めていた。
「太惺どうした?」
「何?たいくんだと?」
鷲崎さんの声がワントーン上がった。
「落ち着け鷲崎。今、変わるから」
彼がしゃがんでスピーカーにして太惺に鷲崎さんの声が聞こえるようにしてくれた。
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