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番外編 おかえり
鷲崎さんと何を話ししているのか、太惺はずっとニコニコと笑って楽しそだった。そこへ心望もひょっこりと姿を現した。太惺と同じようにタオルを握り締めていた。起きてからぐずってばかりでご機嫌斜めの心望。頬っぺたをこれでもかと膨らませていた。
「心望もおいで」
彼が笑顔で手招きすると、ぶんぶんと首を横に振った。
「焼きもち妬きは誰に似たんだって俺しかいないか。未知、悪いが七海に電話を掛けてくれ」
彼に言われ七海さんに急いで電話を掛けようとしたら、向こうから電話がかかってきた。
「心望が大好きな七海さんだよ。ママと一緒にモシモシしようか?」
「ここちゃん、ママは忙しいからお兄ちゃんとお話ししよう」
心望を追い掛けてきた一太。
「朝ごはん食べたしすぐに学校に行ける。時間はまだあるから大丈夫」
一太の膝の上にちょこんと座りテレビ電話をはじめる心望。一太も七海さんと話したいことがあったのか二人してニコニコと笑っていた。
「七海も嬉しいんじゃないですか?癒しのひとときを過ごせて」
柚原さんがクスクスと笑っていた。
「もしかしてまた喧嘩を」
「若い男に道を聞かれて少し話しをしただけで、鷲崎が焼きもちを妬いて大変だったらしい。鷲崎と二日喋っていないと言ってました。一太とここちゃんの声を聞いたら、間違いなくまた家出してくる」
「七海さんがいつでも来れるように準備しておきます」
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