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番外編 おかえり

七海さんの話しには続きがあった。 「新幹線を待っている時にその人と偶然会って。自分には時間がない。一刻も待てない。連れていって欲しいと頼まれたから断るにも断れなくて。青空がいないとハチから聞いた。ハチと青空は一心同体。二人で一人だから、ハチが代わりにその人の話しを聞いている。これはその人が昔使っていた名刺」 七海さんが名刺を差し出した。 「病気になって失明する前は福光さんや額田さんの選挙事務所の責任者をしていたって」 「だから吉崎さんのことを知っていたんですね」 「鞠家のほうから翔さんに連絡してもらった。この人がうそをついているとは思えないけど、話しが出来すぎているから正直怖い」 七海さんが太惺と心望がいることに気付いた。 「たいくん、ここちゃんただいま。目痒いの?」 「二人とも四時起きでしたから眠いですよ」 「だから目を擦っているんだ」 「七海さんにご褒美を差し上げます。二人を寝かし付けてもらってもいいですか?」 「いいの?ありがとう橘」 「お礼は私でなく未知さんに言ってください」 「ありがとう未知」家に上がることをようやく許された七海さん。太惺と心望をぎゅっと抱き締めると、二人の手を引いて奥の部屋に向かった。 途中で「七海さんお久し振りです」と光希さんに声を掛けられたけど聞こえていないのか気付かずに素通りした。

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