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番外編 おかえり

「う、卯月さん、お疲れ様です」 森崎さんの表情がキリリと引き締まった。 「真くんちょっと待ってな。このまま座っててな」 ドライヤーを一旦止めると、すくっと立ち上がり腰を九の字に曲げて挨拶をした。 「真も未来とおんなじように人見知りなのに。懐いている姿を見て驚いた。さすが、森崎だな」 にこっと微笑むと、肩をポンポンと二回優しく叩いた。 「卯月さんに惚れてしまいそうです」 「久弥に泣かれても知らねえぞ」 「久弥は久弥、卯月さんは卯月さんです」 「おぃ、おぃ、鷲崎のことを忘れてないか?」 「忘れてませんよ。多分ですけど」 「なんだ、その多分って。相変わらす面白い男だな」 彼がくすくすと笑い出した。 「すっかり話しが脱線しつしまったが、鷲崎からの言伝てってなんだ?」 「醜聞ですよ、福光直司に関する」 「ふぅ~~ん、やっぱりそうか。噂では聞いていたが、なまじ噂ではなかったということか。あとで話しを聞かせてくれ。真、お利口さんにお留守番できたて偉いな。ほら土産だ」 彼がポケットから取り出したのは、 「ゆべしですか?」 「あぁ。真は愛宕やという駅前に店を構える饅頭屋の胡桃ゆべしが好きなんだ」 「通ですね」 「だろ?」 彼から大好物をもらった真くん。ありがとーと大きな声でお礼を言うとにこにこの笑顔になった。

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