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番外編 おかえり

「俺が彼の舎弟だったのはほんの一時期です。あまりの傍若無人、唯我独尊に嫌気がさして、鷲崎組にくら替えしたんです。いつみさんも人を顎でこき使う傲慢な人でしたからね。逃げて正解でした。鳥飼に一緒に逃げようって言ったんですが、睦さんがいましたからね」 「下手すれば誘拐になっちまうもんな」 「はい。その通りです」 彼と森崎さんが膝を付き合わせ小難しい表情でそんな話しをしていたら、 「オヤジ!」鳥飼さんが息を切らしながら駆け込んできた。 「そろそろ来る頃だと思っていた。遅かったな」 「なんで教えてくれなかったんですか?」 「奈娜が寝ている時間だったからだ。夜中に目を覚ましたとき隣にお前がいなかったらそれこそ大泣きするだろ?フーがいても言葉が通じないんだ。奈娜一人にすんな」 「パパどこ」奈娜ちゃんの泣き声が聞こえてきた。 「奈娜、パパはここだよ。すみません、オヤジ」 鳥飼さんが頭を下げて急いで戻っていった。 「一日中りんりんとフーにねっぱってると聞いた。二人の姿が見えないと泣いて家中を探しまわると。洗濯物も干せないと嘆いていた。」 「ずっと親にほったらかしされて甘えることも出来ずにずっと我慢していたんだ。その反動だろ?」 「邪魔だ、生意気だ、言うことを聞かない、可愛くない、連れ子が自分に懐かず手を挙げる親もいるのにな」 「乾ききった大地が水を求めるように、奈娜はりんりんとフーにすぐに懐いた。二人は奈娜に愛情というたっぷりの水を注いでくれる」

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