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番外編 おかえり

「甲崎さんからの伝言を佐治さんに連絡するのをすっかり忘れていました。玲士さんにSMSを送っても既読がつかない、電話を掛けてもずっと留守番電話のままみたいで、玲士さんに連絡がつかなくても佐治さんがいますからね。うっかりしてました」 「甲崎さんはなんて?」 「飯坂温泉に向かっていると話していました。たまたま偶然捜査でF市にいたそうです」 「甲崎さん福島に来ていたんですか?」 「朝早く東京を発ったので午前中には着いたと言ってました。帰りにここに寄って玲士さんと亜優さんに会って、駅前のビジネスホテルに一泊して、明日の朝には東京に戻る予定でいたみたいです」 「予定を変更しないといけないですね。玲士さん、恥ずかしがり屋だから甲崎さんに会うのが照れくさくて今頃逃げ回ってますね」 その光景が目に浮かんできて、ぷぷっと思わず笑いが零れた。 「未知」彼に後ろからいきなり抱き締められて驚いた。首筋に軽くキスをされてこそばゆくて思わず身を捩ると、 「一回だけいいか?」 何をと聞こうとした時には、体がふわりと宙に浮いていた。 「しっかり掴まってろ」 「え?ちょっと待って遥琉さん」 体がくるりと回りだしたから慌てて彼の首にしがみついた。 「遥琉、これ見よがしに見せつけないでいただけますか?」 「見せつけるつもりはない。俺は未知を補給しに来ただけだ」 くるっと一回転するとゆっくりと下ろしてもらった。そして今度はぎゅっと前向きで抱き締められた。

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