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番外編 おかえり
「甲崎のことだ。愛しい千里に褒めてもらうため、公務執行妨害と銃刀法違反の疑いで連中を一網打尽にするだろう」
「それって職権乱用にならねぇのか?」
「マル暴だからな、甲崎は。それに国井も一緒らしいし」
「国井だと?どういう組合せだ?」
「表向きは人手が足りなくてソタイに捜査協力を仰いだらしい。シェドと楮山絡みのこめんどくさい事件に誰も首を突っ込みたくないというのが本音だろうよ」
「誰も火の粉を被りたくわな」
お祖父ちゃんが腕を組みふと鈍色の空を見上げた。
「しかしよく降る雨だな。遥琉、一太たちの迎えは?早く行かないと駐車場がいっぱいになって停められないんじゃないか?小学校のまわりは道幅が狭くて路上駐車禁止だろ?」
お祖父ちゃんと一緒にいたお義父さんが心配そうにそんなことを彼に聞いた。
「鞠家と柚原で行ってます。親父、度会さんと一緒に幸の迎えをお願いしてもいいですか?」
「おぅ、なんでも頼んでくれ」
ぎこちない会話を交わす二人。
一日ほんの数ミリ。少しずつでいいから二人を隔てる分厚い氷の壁がいつか、溶ける日が来ればいいなと切に願った。
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