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番外編 おかえり

「かなくん、ゆうくん、国井さんの声がしたよね?」 「うん、聞こえた」 「ぼくも聞こえた」 明日も学校だから九時に電気を消して布団に入った男の子三人組。まだ眠くないみたいでなかなか寝付くことが出来ず、暑いからと言ってパジャマを脱ぎ捨て、毛布を蹴飛ばして、一太と奏音くんと優輝くんはこそこそ話しをしていた。 「チカちゃんも帰ってきたのかな?」 「ぼくね、国井さんとチカちゃんに会いたかったんだ」 「ぼくもだよ」 頭の上にあるリモコンに手を伸ばす一太。パッと明かりがついた。 「パパとぱぱたんに見付からないように行かないと」 「ままたんはハルちゃんたちのところだから大丈夫。見付からない」 「静かにね」 三人は頷くと、パジャマを着て布団から抜け出した。 優輝くんが「あ、そうだ」と言って明かりを消した。 「こら、寝ないと駄目だろう」 戸をそっと開けると、そこには国井さんが立っていたからものだから三人はひっくり返るくらいビックリした。 「ごめんなさい」 「だって、国井さんに会いたかったんだもの」 目が合うなりバツが悪そうにえへへと愛想笑いをする三人。 「俺だって三人に会いたかった。起こしたら悪いかと思って寝顔だけ見に来たんだ。ただいま、一太、奏音、優輝おいで」 両手を大きく広げると三人は、国井さんお帰りなさいと言いながら勢いよく飛び込んでいった。 「さすがは鍛えているだけはあるな。前来たときは三人分の体重を支えきれずに尻餅をついていたのにな」 「柚原余計なことは言わんでいい」 国井さんが苦笑いを浮かべた。

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