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番外編 おかえり
行きたくない、休むと駄々を捏ねる遥香をなんとか宥めて幼稚園のバスに乗せた。幸ちゃんも行きたくないと駄々を捏ねて紫さんを困らせていた。結局チカちゃんも一緒に行くことになって朝のバタバタがようやく一段落した。
「朝から賑やかですみません」
頭を下げて謝る国井さんに、
「元気なことはいいことだろう。静かなときは具合が悪いときだからな」
お祖父ちゃんがくすりと笑った。
「チカが帰ってくるまで話し相手になってくれるか?」
「はい、俺で良かったら」
国井さんががちがちに緊張していた。
「カシラ、ヤス、お前らも混ざれ」
度会さんの命令は絶対だ。
立ち話をしていた鞠家さんとヤスさんがすっ飛んできた。
お祖父ちゃんとお義父さんと渡会さん。重鎮が三人も揃い踏みなんだもの。緊張するなというのが無理だ。
「国井、どうだ?青空は?」
「適応能力があるからすっかり馴染んでいた。近所の人たちと作業場でお茶を飲みながら昔話にじっと耳を傾けていた。見た目で判断せず、ちゃんと見てくれいるんだなって感じた」
「青空もヤスと同じでおばあちゃんたちのアイドルだからな。またファンが増えたな。憎めないあの性格と愛嬌のあるあの笑顔が青空の長所だからな。そうか良かった」
くくくと渡会さんが笑っていた。
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