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番外編 おかえり

「青空は今頃新聞社の取材を受けているはずだ。夕方には配信される。直司さんが捨てたはずの息子が生きていたと知ったらどんな反応を見せるか楽しみだ。翔が礼に青空とDNA鑑定をすることになったと連絡した。さぞかし驚くかと思ったか、あ、そうってあっさりしていた。直司さんと親子の縁を切っているから俺は部外者だってな」 「妙にあっさりし過ぎじゃないか?」 「国井もそう思ったか」 「礼は裏表があって腹黒いからな。何を考えているのかさっぱり分からない男だ」 「要注意人物として公安にマ―クされるとかいろんな噂が流れているわ」 国井さんとチカちゃんが心配そうに眉をひそめた。 ―連中は甲崎が帰ったのを確認してから行動に移した。大陸の連中はどうしてこうも血の気が多くて短気なんだ。言葉が通じないのはしょうがないとして、人様に迷惑を掛けてはいけない、小さい子どもと年寄りを大事にする、肝心要の人の話しを聞く、待つということも知らない。覃と宋とはえらい違いだ― 「玲士と青空は?」 ―手筈通りみつ子さんを逃がして自分たちが囮になって連中に大人しく捕まった。玲士が新入りで場馴れしていないことを連中は知っていたぞ そうか。佐治、引き続き頼むな。甲崎にも宜しく言っておいてくれ。あと十分もしたら助っ人が到着する― まわりが果樹畑で家の近くで農作業をしているせいか普段から鍵を閉めるという習慣がない寺嶋さん夫婦。夫婦と青空さんたちが朝早くから桃の収穫をして家を留守をしていた隙にならず者たちが上がり込んだ。そうとは知らないみつ子さんと玲士さんと青空さんがお昼を作るために家に戻ってきたときに事件が起きた。
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