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番外編 おかえり

「青空に会いたくて来たんだが生憎留守でな。ハチと翔が代わりに話しを聞いた。何を話したか翔に聞くといい」 「遥琉、その手帳を見せてもらっていいか?」 「あぁ、構わない」 国井さんに手帳を渡す彼。チカちゃんと一緒に覗き込んだ。 「几帳面な人だったんだな。小さい字で事細かく書いてある」 「七月一日のところを読んでみろ」 彼に言われページを捲る国井さん。 「山梨 13時と書いてあるだろう。最初は目前に迫った選挙に勝つため山梨に応援演説に行ったんだと思っていたが違っていた。青空の継父の名前が山梨だったんだ。こんな偶然あるか?」 「福光を脅し金を要求したが、相手が二枚も三枚も上だった。堕ろせと言ったのにひそかに産んで育てていたことが福光にバレた。選挙前の大事な時期にもし隠し子の存在が世間に知れたら政治生命が絶たれる。福光は部下に事故に見せかけて三人を始末しろと命じた。福光ならやりかねないな」 「七海から青空の母親のことを聞いたわ。乙幡さんが七海に話したことが真実だとしたら許せない。みんなね、関わり合いを持ちたくないからあえて触れないように避けて通ってきた。そのツケが今、回ってきたのかも知れないわね。彼を政界に復帰させちゃいけない」 チカちゃんが語気を強めた。

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