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番外編 おかえり
立てこもり事件は機動隊が突入する寸前に犯人が自殺してあっけない幕切れとなったと蜂谷さんからメールが送信されてきた。
「口封じに殺されたんだろう」
国井さんが飲み物を運んできてくれた。
「観念したんじゃない?柚原がいるんだもの。それに青空だって本気を出せば強いもの」
「まさか柚原と青空のことを知らない?いや、そんな訳ないだろう」
「雇われたなら辻褄が合うわよ」
「なるほどな。ス―プを持ってくる。話しはそれからだ」
国井さんがテキパキと動いていた。手伝おうとしたら、いつも動き回っているんだ。たまにはゆっくりしたらいい、笑顔でそう言われてしまった。
「もしかして闇バイトとかですか?」
「日本に来たばかりの留学生に楽に稼げるアルバイトがあると持ち掛けた人がいる。日本人は勤勉で真面目というイメージがあるけど、腹黒い人はいくらでもいるからね」
光希さんがカフェオレをゆっくり一口飲んだ。チラッと視線を送った先にいたのは森崎さんとコウジさんだった。二人は少し離れた席に座っていた。
「国井さんとチカがいるから護衛は不要だと言ったんだけど。心配症は誰に似たんだろう。不審者だよね、間違いなく」
くすりと苦笑いを浮かべた。
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