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番外編 おかえり

「しつこい連中だ」 「森崎、くれぐれも先に手を出さないように」 「分かってますよ、姐さん」 不敵な笑みを浮かべる森崎さん。コウジさんが座る席からは駐車場がよく見えるみたいで、鋭い眼差しを向けていた。相手は五人。県外ナンバーの黒いバン。森崎さんが知っている顔がいるということはつまり吉柳組と宇賀神組の構成員がいるということだ。 「吉柳と槇島が蜜月だという噂、やっぱり本当だったんだ。犬猿の仲だったのに……昨日の敵は今日の友か。なるほどね」 チカちゃんがボソリと呟いた。 「チカ、聞こえなかったからもう一回言ってもらっていいか?」 ちょうどお昼時だから店はかなり混み合っていて大勢のお客さんの話し声が聞こえていたから、大きな声で話さないと相手に伝わりにくかった。 「だからね、吉柳と槙島が蜜月だって噂が本当だった。そう言ったの」 「破門されたら行き場がないからな。今のうちに吉柳組と仲良くしておいて、いざという時は吉柳組に世話になるフリをして組を乗っ取るつもりだろう。借りた恩を仇で返すのが槙島という男だ」 国井さんが眉根を神経質にひそめながら憤るように口にした。 客が店内に入ると鳴る鈴の音がカランカランと鳴った。 「いらっしゃいませ。ただ今のお時間満席でして名前を書いて少々お待ちください」 「連れが先に来ている」 あ、この声! 国井さんたちもすぐに気付いて驚いていた。 「お、いたいた。迎えに来たぞ」 にこやかに微笑んだのは彼だったから僕も驚いて声が出なかった。

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