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番外編 おかえり
喧嘩に明け暮れて数え切れないくらいの修羅場を乗り越えてきた森崎さんとコウジさん。ちょっとやそっとのことでは動じない。互いに睨み合い一歩も引かなかった。まさしく一触即発。いつ衝突するか分からない緊迫した状況だった。そんな時、♪ゆきゆき~~とすっかりお馴染になった軽快な音楽が流れてきて駐車場にゆきうさぎ丸が入ってきた。
「相変わらずなかなかいいタイミングで現れる」
彼がくすりと笑った。
行く手を塞ぐようにゆきうさぎ丸が男たちのすぐ目の前で停車した。あやうく接触しそうになり、
「どこ見て運転してんだよ!」
「危ないだろうが!」
男たちの怒号が飛び交った。
「悪いな。猫を轢きそうになったから止まったまでだ」
運転手側のドアが開いてエプロンをつけたヤスさんが颯爽と下りてきた。
「は?ハッタリもいい加減にしろ!」
「ふざけやがって!」
「ハッタリじゃねぇよ」
ヤスさんが前屈みになりタイヤの下にい黒色の仔猫を抱き上げた。
「こんなところに捨てやがって。可哀想に」
大柄で厳つい男たちにどんなに睨まれようがまったく動じないヤスさんに、男たちがコイツただ者じゃねぇぞ、ひそひそと話しはじめた。
「俺はただの移動ス―パ―の店長だ。そういうお前らこそ何者だ?名を名乗れ」
「てめぇ―に名乗る名前なんかねぇ」
「名乗る名前があるだろ?吉柳組のカドタって立派な名前がな。そういえばやたらと元気なあのぼんぼんは?いないのか?」
仔猫を撫でながら男たちをじろりと睨み付けた。鬼気迫るその迫力に思わず後ずさる男たち。その時にゃ―にゃ―と鳴きながらサビ猫がどこからかふらりと現れた。
「良かったな。捨て猫じゃなかったんだな」
ヤスさんが仔猫をそっと下に置いた。
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