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番外編 おかえり
「皆さんよくご無事で」
橘さんが笑顔で出迎えてくれた。太惺と心望も元気いっぱいに走ってきて、大きく両手を広げた彼の腕のなかに勢いよく飛び込んでいった。
「ただいまお兄ちゃん!」
チカちゃんが橘さんにむぎっと抱き付いた。
「いつから私はあなたの兄になったんですか?なった覚えはありませんけど。もしかして酔ってますか?」
「酔ってないわよ。アタシと千里は姉妹みたいじゃない?ソックリでしょ?」
「そうですね。分かりましたよ。千里同様妹のように可愛がればいいのでしょ?別に千里が側にいなくても寂しくなんかありませんから」
「へぇ~~本当にそうかな?」
「そうですよ」
至近距離でまじまじと見つめられ、橘さんが気まずそうに顔を逸らした。
「やだ、もう、お兄ちゃんかわいい!」
甲高い声を耳元で出され橘さんは迷惑そうにため息をついていた。
その頃光希さんと七海さんはソワソワしながら玄関の前に立っていた。
「ファミレスを出たあと何台ものパトカーと擦れ違ったから、心配で心配で……」
「ヤスがいるから大丈夫だとは思うけど……万が一っていう場合もあるだろうし」
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