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番外編 おかえり
「お帰り。良かった無事で……」
森崎さんの顔を見るなりホッとして胸を撫で下ろす七海さん。鷲崎さんと、彼の右腕である森崎さんは武闘派としてその名を知らぬ者はいないというくらい有名だ。
「姐さん、一回ハグさせてもらっていいですか?」
「え?ハグ?」
「はい。オヤジがいるときは出来ませんからね。我慢出来たご褒美をください」
七海さんが答える前にぎゅっと抱き付く森崎さん。
「もしかしてコウジも?」
羨ましいと小声で本音が思わず漏れたコウジさんに光希さんが声を掛けると、
「俺は森崎さんとは違って大人ですから」
そうは言うものの背中が寂しそうだった。
「強がってなんかありませんよ」
「なんで縣一家《うち》はみんな構ってちゃんなんだろう」
光希さんがコウジさんの背中にぎゅっと抱き付いた。
「良かった無事で……」
「か、監視カメラありませんよね?オ、オヤジたちに見られてないですよね?俺、半殺しにされます」
慌てふためきながらキョロキョロとあたりを見回すコウジさん。
「人んちの家の玄関の前で何をしてんだか」
はぁ~~と深いため息をつく彼。
橘さんも苦笑いを浮かべていた。
「俺も未知にあとでハグしてもらう。たいくん、ここちゃん、そのときはママを貸してな」
「あ~~い」
小さな手が同時に二つ挙がった。
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