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番外編 おかえり

「監視カメラはある、お喋りが大好きな烏もたくさんいる。筒抜けだっての。太惺、心望、いいか、よく覚えておけよ。お天道様の下で悪さをすればいずれは白日のもとに晒される。悪事千里を走るだ」 「遥琉、二人ともまだ一歳ですよ」 「悪いことは悪い、人を傷付けない、嫌がることはしない、それを教えるのに遅いも早いもない」 「それはそうなんですけど、矛盾してませんか?」 「ヤクザの癖に説得力がないってだろ?」 監視カメラはある、お喋り大好きな烏もいる。そう彼に言われた森崎さんとコウジさん。七海さんと光希さんから慌てて離れると、何事もなかったように振る舞っていた。ちょうどそこへ久弥さんが現れた。 「森崎さんお帰りなさい」 「久弥~~!」 森崎さんの目がキラキラと輝き出した。 「じゃがいもの煮っころがしを作ってみたんです。森崎さんに味見をしてもらいたくて。あ、でもやっぱりいいです。ちょっとだけ焦がしたから苦いかも知れないし」 「いや、久弥が作ってくれたものは全部食べる」 「味の保証はしませんよ」 「気にしない」 本当に嬉しそうな森崎さん。普段は離れ離れだけど、久弥さんと順調に愛を育んでいるみたいだった。

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