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番外編 おかえり
「チカ、相変わらず可愛いな」
「あら~~ちょっと!」
「痛い!」
チカちゃん的にはそんなに強く国井さんの肩を叩いた訳じゃないのに、実際は相当痛かったみたいで国井さんが悶絶していた。
「冗談抜きで肌が綺麗だ。会わないうちに可愛くなったぞ」
「まぁ、そうでもないけどね」
まんざらでもないのかチカさんはとても嬉しそうだった。
「青空、俺の女房を旦那の前で口説くとはな。いい度胸だな。もしかして喧嘩を売ってるのか?」
「売ってもいなし、口説いてもないぞ。俺には尊がいるしな。チカのその高い声と笑った顔を見ると不思議と安心するんだ」
「まぁな命がけの激務だしな」
「国井はいつもの国井だから別に心配していないぞ」
「おぃ!」
国井さんがずっこけていた。
「佐治と玲士は一緒じゃないのか?まさか置いてきたとか」
「それはない。事務所に用があるみたいだ」
「それなら良かった」
「今思い出した。千里ラブの男のことをすっかり忘れていた。呼びに来るまで車にいる」
「青空、そういう大事なことはまず先に言わないと」
「悪い」
青空さんが笑いながら頭を掻いた。
なかなか呼びに来てくれない青空さんを健気にも待ち続けた甲崎さん。まだかって電話くらい寄越せばいいのにな。国井さんが笑っていた。
「蒼生と千ちゃんの話しで盛り上がっていたから、さほど気にも留めなかった。卯月、土産だ」
ラジウム卵と温泉饅頭を彼に渡す甲崎さん。
「本当に俺の弟でいいのか?玲士よりも若くてカッコいい男は他にもたくさんいるだろうに。後悔しないか?」
「しない。玲士は伸び代がある。ゆくゆくは組の屋台骨を支える幹部の一人になるだろうよ」
彼が玲士さんを高く評価してくれていたことを知り胸を撫で下ろす甲崎さん。
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