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番外編 おかえり
「一瞬相当な手練れだと思ったが、隙だらけだし、ナイフも銃も扱いに慣れてないし、いちいちこれからどうすんだと携帯に聞いている。手首を縛られたがあんなのほどこうと思えばすぐにほどける。なんとか騙しだ。相手が何人でも問題ない。実戦あるのみだ。玲士はいい経験をした。オヤジの婿となれば、これからは命を狙われる。連れ去られたときどうするか、どうやって生き延びるか、どうやってロープや結束バンドを切るか、いい勉強になったぞ思うぞ。大陸と違い日本は平和だ。弾も爆弾も飛んでこない。自爆ベルトを腰につけ、戦闘服を着て銃を握りしめて真っ暗な穴のなかで寝なくてもいい。この格好のままでいれる。温かくてこんな旨い飯、食えなかった」
量が多いから子どもたちにお手伝いを頼んだ。大きさが違うはハンバーグを丸めたときの手の大きさの違い。
「このデカイハートは一太か、星形は奏音か。二人とも変なところに拘るからな」
「青空すまんな」
甲崎さんが頭を下げた。
「さっきも言ったが甲崎も国井もチカも悪くない。誰も責めるつもりはない。でもな、アイツに会って心が変わった。本当に翔とナオの兄弟なのか?」
青空さんの言っているアイツとは礼さんのことだ。
「なんでもかんでも金で解決出来ないものはないと思っていることに腹が立つ。金が欲しいんだろう?いくら欲しい?俺はただ母の行方が知りたいだけなのに、話にもならない」
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