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番外編 おかえり

「一緒に飾らせてくれ」 写真立てを藍子さんの遺影の隣に静かに置く青空さん。 「俺の母親の高校生の時の写真だ」 校門の前で緊張した面持ちで写る女の子。ショートカットではにかんだ笑顔が可愛らしい。茶系のブレザーにキャラメル色のスカートを着ていた。 「あれ、この制服って……」 「光希さん分かるんですか?」 「うろ覚えなんだけど福島市内にあるF高校だと思う」 「少しでも手がかりになればと思いもらってきた。高校の名前までは聞いてこなかったから。ありがとうな光希。俺の母親はどこにいるんだろうな。探してもなぜに見付からないんだ」 深いため息をつく青空さん。 「あ、そういえば……すっかり忘れていたぞ。みっちゃんに頼まれて食器棚を新しいのに交換していたら、古い食器棚の一番上の奥にこれがあった」 青空さんがズボンのポケットからガムテープが付いた携帯を取り出した。 「ガラケーなんて懐かしいだろ?誰も手が届かない所に貼ってあった」 「吉村さんならデータを復元できるかもしれません。頼んでみますか?」 「弓削のも復活させたんだよな。アイツ、スゲーよな。尊敬する。ハチに連れていってもらう。自分から頼んでみたいんだ」 「成長したね青空」 光希さんに褒められて、 「だろ?。日々成長中だ」 ニヤリと笑う青空さん。

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