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番外編 おかえり

しまいには、 「譲治見て。この筋肉。すごいわよ」 譲治さんを巻き込んで青空さんの背中と脇腹をぺたぺたと触りはじめた。青空さんはされるがまま。擽ったいのをただひたすら我慢していた。 「オヤジ、坂井さんから電話です」 佐治さんが彼を呼びに来た。 「なんだもう分かったのか。さすがは坂井だ。仕事が早い」 「遥琉さん、坂井さんってもしかして坂井組の?」 「あぁ、そうだ。今は山形にいるがもともと福島市内の、信夫山のしたあたりに住んでいたらしいぞ。坂井にF高校の出身の知り合いはいないかと聞いたんだ」 「青空さんのお母さんのクラスメイトとか先生とか手がかりが何か掴めればいいね」 「そうだな。一日も早く見付けてやらないとな」 坂井さんは彼に返しきれないくらいの恩があるみたいで、このチャンスを逃すまいと躍起になっているみたいだった。 「未知、先に寝ててもいいぞ」 彼の顔が近付いてきて。前髪を手であげるとおでこに軽くキスをされた。 「チカたち酔っ払いの相手はしなくていいよ。体が参ってしまうからな」 「でもそういう訳には……」 「光希と七海に任せておけ。あの二人は酔っ払いの相手をするのに慣れているし聞き上手だ。もし未知に倒れられたら俺が困る。分かったか?」 「うん、分かった」 頷きとようやく彼が笑ってくれた。それがとても嬉しかった。 「あの~~俺の存在を忘れてませんか?別にいいですけどね。いいモン見れたんで」 佐治さんの声がしてきてドキリとした。

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