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番外編 おかえり
「こうしていると不思議と心が落ち着くんだ。やっぱり俺、未知が側にいないと駄目だ。なにも出来ない」
太惺が寝返りを打ち、彼の背中にぎゅっとしがみついてきた。
「あれ?心望は?」
「遥琉さんの頭の上にいる。ちょうどお尻が当たってる」
「朝四時くらいに二人してデカイおならをするんだ。離れて寝たはずなのに、気付いたら俺の顔にに二人のお尻がねっぱってんだ。ちょうど目覚まし時計に代わりになっていいんだがな。たまに首にしがみつかれて息が出来なくて苦しいときもある。起きているときも寝ているときも元気で何より。来週の火曜日が終業式だろ?そのまま光希と奏音は東京に向かうことになる。チカとも会えなくる。だから思い出作りに磐越東線で三春町に出かけることにしたみたいだぞ。車でも行けるがワンマン電車にどうしても乗りたいみたいだ」
「吉柳組のカドタさんがまだにいるかも知れないのに。大丈夫かな」
「現役の警察官が二人も同行するんだ。鬼に金棒だろう。チカも普段は箸より重いものは持ったことがない。か弱い女子を演じているが、腕っぷしはかなり強いぞ」
「あれ?甲崎さん今日帰るんじゃあ」
「昨日のうちに上司に掛け合って明日まで福島にいることにしたらしい。青空の母親の高校の同級生がK市内に住んでいて、旅行中でいないから、明日会う約束をしたらしい。相変わらず玲士は甲崎に対して塩対応だ。素っ気ない」
「玲士さん、素直じゃないから、照れているんじゃないかな。本当は甲崎さんと一緒の時間を過ごすのが楽しいのかも知れない」
「念願叶い弟の伴侶ともようやく会えたしな」
ぷっ、ぷぷぷ~~、目覚まし時計代わりの二人のおならがあたりに響いた。大きな音に陽葵の体がぴくっと動いた。遥香は熟睡しているからか微動だにしなかった。各者各様。それぞれに寝相が違うから見てて面白い。
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