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番外編 おかえり

「どうしようかな」 お兄ちゃん達と三春に行くか、ここに残って晴くんたちと遊ぶか、幸ちゃんは究極の選択を迫られていた。 「ハルねぇねは?」 「ハルちゃんはままたんとぱぱたんとあそぶんだ」 大好きな二人を一人占め出来るチャンスなんてそうそうないもの。 「デートのやくそくしたんだよ」 そういえば三日前に見たいアニメの映画がはじまったって話しをしていたっけ。 「みゆちゃんもきてもいいよ」 「え?ほんとに?」 「うん」 「うそじゃない?」 「さっきからうんっていってるでしょう?」 せっかく一人占め出来るチャンスなのに。 「ハルちゃんは、みゆちゃんのおねえちゃんだもの。いいよ」 「じゃあ、みゆちゃんね、ハルねぇねといる。ねぇねとにいににいってくる」 幸ちゃんがニコニコの笑顔で駆け出した。 「ハルちゃん、本当にそれでいいのか?」 「だってみゆちゃんも、ハルちゃんみたくぱぱたんとままたんがだいすきだもん」 「そうか。大人になったな」 柚原さんが目を細めて遥香の頭を撫でた。 お昼は公園でお弁当が食べたいと遥香のリクエストで、橘さんが愛情をたっぷり込めて作ってくれている。 「えぇ~~どうしよう」 「行く?行かない?ぜんぜん決まんない」 すっかり忘れていたけど、究極の選択を迫られている人はまだ三人もいた。仲良し三兄弟のことだ。

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