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番外編 おかえり
「昨日あんまり寝てないから、乗り物に酔いそうだからやっぱりやめる。寝る」
亜優は紗智と玲士と一緒に行ってきたら?たまにはいいんじゃない?那和さんが亜優さんに中国語で話し掛けた。
「甲崎さんがいるから亜優、変に緊張しない?」
「大丈夫」
「通訳いないよ」
「だったら鞠家を連れていったらいい。あれこれ心配してもなるようにしかならないよ」
「それはそうなんだけどね」
「紗智は心配症だね。可愛い子には旅をさせよって、バ―バがよく言ってる」
「そうだった。高行さん、事務所に行く前に捕まえてくる」
「頑張ってね」
那和さんが手を振った。
「やっと決まったか?」
「決まった。シャワー浴びて来る。眠いから寝る。朝から暑いね」
那和さんがあくびをしながら浴室へと向かった。
「朝起きたら隣で寝ている真がいなくて。ビックリして家中探したらリュックサックを背負って靴をはきかえて玄関に真がちょこんと座っていたんだ。しかも自分でおにぎりを作ってそれを食べていたんだ。安堵したとたん力が抜けてしまって。茉弓もだ」
「そうだったんだ」
吉崎さんから真くんの着替えが入った大きめのバックを受け取る光希さん。
「真の気持ちが変わらないうちに、予定より二時間早いが出掛けることにしたんだ。光希、二日間真のことを頼むな」
「俺じゃなくて未知と紫さんに頼むのが筋だよ」
「そうだった。浮かれている場合じゃないよな。参ったな」
吉崎さんが苦笑いしながら頭をくしゃくしゃと掻いた。
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