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番外編 おかえり
「いちたおにいちゃん、かなおにいちゃん、おはよー」
「あれ?しんくんだ。おはよー。早起きだね。晴くんたちまだだよ」
「たのしみできちゃった」
「そっか。分かる。僕もそうだから」
「遠足の前の日とかぜんぜん寝れないよね」
「いちたおにいちゃんたちもおでかけ?」
「うん、そうだよ」
二人ともリュックサックを背負い帽子を被り準備万端だ。真くんも一緒に行きたいと言い出すかと思ったけど、
「パパがね、わるいひとがいるから、しょうがくせいになったらいちたおにいちゃんたちといっしょにいってもいいって」
「じゃあさ、来年の五月のお休みにどこか行こう。両方のパパに頼んでおくね」
「うん、わかった。やくそくだよ」
「じゃあ、指切りげんまんしよう」
一太が真くんと指切りげんまんした。
奏音くんは来年僕はここにはいない。嘘をついたら泥棒さんになるから指切りげんまんは出来ないんだ。真くんごめんねって正直に謝っていた。その様子を光希さんが携帯で撮影しながら嬉しそうな笑顔で見ていたことに奏音くんは気付いていない。
それから三十分後。
「行ってきます!」
総勢十人を越える大所帯で出掛けていった。小学生四人組は暑さに負けず元気いっぱいだ。思い出に残る素敵な一日となりますように。今日だけは何事もなく過ぎますようにと祈るしかなかった。
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