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番外編 おかえり

「十分待って、それから呼ぼうとしていたところだ」 佐治さんが答えると、ナオさんがキョロキョロとあたりを見回した。 「遥琉さんが信孝さんに用事があるみたいで連れていきました。すぐに戻ってくると思います」 「どうせまた信孝さん駄々を捏ねて遥琉さんを困らせたんでしょ?新入りの玲士さんや、吉村さんと斎藤さんもみんなイケメンだし。いちいち焼きもちを妬いてもしょうがないのにね。だって遥琉さん来るもの拒まずだもの。ごめんね、未知」 「ううん、僕も気にしていないから謝らないでいいから」 ナオさんはすべてお見通しだった。 それから三十分後。 「ナオ、出掛けるぞ」 信孝さんが颯爽と姿を現した。 さっき駄々を捏ねていたのが嘘のように、いつもの信孝さんに戻っていたから驚いた。 遥琉さん、どんな魔法を信孝さんにかけたの? もしかして遥琉さんの本当の姿って魔法使いだったりする? 「魔法使いじゃねぇよ。ただの人間だ」 苦笑いを浮かべる彼と目があった。 「心の声がただ漏れだ」 「ごめんなさい」 素直に謝った。 「見たい映画がちょうど上映しているんだ。晴と未来が俺たちの家族になってからは二人が好きな戦隊モノとかアニメしか見てこなかっただろ?映画を見終わったらゲイセンに行こう。昼ご飯はなにを食べる?」 「うん、分かったから一つずつ答えさせて」 早口で矢継ぎ早に言われナオさんが戸惑っていた。 「晴と未来はこの俺、はる先生が責任を持って預かるから心配せず息抜きをしてこい。ただし二人が寝る前には帰ってこいよ」 「遥琉さんありがとう。信孝さん、行きたいところに行こう」 ナオさんはすごく嬉しそうだった。

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