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番外編 おかえり
「はるせんせ―と遊ぶ人は集まれ!」
彼の掛け声に晴くんたちがわぁ―っと歓声をあげて一斉に大広間に集まった。
遥香と幸ちゃんは橘さんにくっついて離れない。
太惺と心望は晴れているのになぜかぶかぶかの長靴を履いて庭で虫を見付けては大騒ぎしていた。佐治さんとヤスさんが一緒にいるから安心だ。
「あの、蜂谷さん確認なんですが」
吉村さんが切り出した。
「どうした?」
「どの卯月さんが本当の卯月さんなんですか?」
「俺らのオヤジは多彩な才能の持ち主だからな、どれも正真正銘俺らのオヤジだ」
「ヤクザには見えませんよね。私もそうだと言われてもなかなか信じることが出来ませんでした」
吉村さんは青空さんが持って帰ってきた携帯のデータを復元すべくパソコンの画面と向き合っていた。
青空さんと斎藤さんはというと、向い合わせでテーブルに座り、目も合わせず、一言も言葉を交わさず黙々とホットケーキを食べていた。なんともいえない気まずい、微妙な空気が流れていた。そんな重苦しい空気を一瞬で吹き飛ばしたのは遥香だった。
「おいしくないんだね。そっか」
フライ返しを握り締めて、そっと様子を見に来た遥香。仏頂面して押し黙る二人の表情を見たとたん泣き出した。
「ハルちゃんとみゆちゃんでガンバったのに……」
「ごめんね、ハルちゃん。そういう訳じゃなくて。誤解だよ」
斎藤さんがあわてふためいていた。
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