3652 / 4016
番外編 おかえり
「青空、寺嶋さんから電話だ」
「じぃちゃんからか?」
「あぁ」
「ハチ、借りるぞ」
蜂谷さんから携帯を借りると縁側に移動する青空さん。
「コンビニで現像できるぞ。え?やり方がわからない?実は俺も最近知ったばかりだ。ハチに俺から頼んでおく。送るから待っていてくれ。暑いときは畑に出るなよ。涼しくなってからにしろよ。誰がって、俺が心配なんだよ」
満面に喜色を浮かべる青空さん。
「青空さんと洋一さんと光子さんの気持ちを考えたら胸が締め付けられます。なにも悪いことをしていないのに」
吉村さんがやりきれない心境を吐露した。
「俺らが戦う相手はあの福光だ。今ならまだ間に合うぞ」
「卯月さんと共に戦うと決めました。たとえ職を失うことになっても福光さんが非を認め、謝罪するまで卯月さんと一緒に戦います」
「悪いな」
「悪くありません」
吉村さんが首を横に振った。
「君子危うきに近寄らず、触らぬ神に祟りなし、上を目指すならそのことには今後一切触れるな、詳細は割愛しますが、あのとき福光さんを逮捕し、立件できていれば青空さんのお母さんは事件に巻き込まれることはなかった。私の上司が悔やんでも悔やみきれないと連絡を寄越しました」
ともだちにシェアしよう!

